先日4月22日(水)は南多摩眼科医会総会出席のため診療時間を短縮致し、患者様にはご迷惑をおかけ致しました。
総会では同じ眼科開業医の先生といろいろな医療情報の交換も出来、とても有意義な時間となりました。
総会後にはドライアイの専門家である有田玲子先生の特別講演を聞いてまいりました。
今回の講演内容は、ドライアイの原因として最も多いと注目されるマイボーム腺機能不全(MGD)についての話題でした。
マイボーム腺とは、上下のまぶたの縁にある皮脂腺の一つで、目の涙液膜の蒸発を防ぐ働きを持つ油性物質(皮脂)の供給をつかさどります。マイボーム腺は上まぶたには約50本、下まぶたには約25本存在と言われています。
「涙」は目の健康にとって欠かせないものです。涙には「目を乾燥から守る」「角膜へ酸素や栄養の補給」「きれいに物を見る」「汚れやゴミを洗い流す」などの働きがあるからです。 涙は、ほとんどが水分ですが、その水分が蒸発しないように、表面に薄い油の層がのっています。涙の蒸発を防ぐ油を分泌しているのが、まぶたの中にあるマイボーム腺です。
このマイボーム腺の機能がなんらかの原因で低下してしまうと油が出にくくなり、目の健康を害してしまう可能性があります。 涙(目)を守る油を出すマイボーム腺の機能が低下してしまう病気を『マイボーム腺機能不全(MGDと略します)』といいます。
人間は瞬きするたびに、涙腺から涙の水の成分が、またマイボーム腺からは涙の油の成分が分泌されており、その大切な涙は、水分が足りなくなっても油分が足りなくなっても、ドライアイ症状を引き起こします。
【MGD発症の原因】
1)加齢性変化
2)コンタクトレンズ装用者: ソフトコンタクトレンズより、ハードコンタクトレンズの方がMGDの患者様が多いとの報告がありました。
3)アレルギー性結膜炎: 8割の方にマイボーム線の変形が見られているとの報告もありました。
4)アイメイクなど: マイボーム腺の開口部はまつ毛の生え際のすぐ近くにありますので、アイライナーやアイシャドウ、マスカラなどを目の際までつけていると、不潔になりマイボーム腺の機能を低下させる原因になります。
5)その他: まつ毛パーマ、エクステンションの施術後などではパーマ液や接着剤がマイボーム腺を知らない間に傷つけている可能性が非常に高いとの事です。
※最近では、ドライアイの患者様の80%以上はMGDによる、油分が足りないことが原因と言われております。
※MGDの治療に関して(薬物療法以外)※
MGDの患者様のまぶたの温度を測ると、通常の人より低温になっているとの事です。そこで、まぶたの温度を上げるためのケアが推奨されます。
★MGDを専門的に研究している『LIME研究会』が推奨する治療法:温罨法(おんあんぽう)について★
1日2回 1回5分(2週間以上継続)まぶたを温める。 温罨法は、「マイボーム腺の脂をとかす」「まぶたの血流を改善する」などの目的で行います。
※温罨法の為に有効なグッズは下記に記載致します※
まぶたを温めた後にまぶたを指の腹でやさしくマッサージし、眼瞼清拭(リッドハイジーン)=指のはらで睫毛の根元周囲をやさしくマッサージするようにすると、更に効果が高まるとの事です。
この眼瞼清拭に関しては「LIME研究会のホームページにて動画で解説されておりますので、興味のある方は是非、ご覧下さい。
【ご注意】以前は、蒸しタオルなどで目を温める方法を薦めていましたが、蒸しタオルではすぐに温度が下がってしまうため、温罨法にはあまり適さないとの報告があります。温度が下がってしまうと、柔らかくなった油がまた固まってしまうためです。
※温罨法のためのグッズ※ ●あずきのチカラ 等
※眼瞼清拭【リッドハイジーン】※ ●アイシャンプー、ティーツリー、オキュソフト 等
上記のように今回の講演において、有田先生からMGDについていろいろ教えていただきました。 MGDはドライアイの症状と区別できる特徴的なものはないようですが、MGDの患者さんの主な自覚症状には次のようなものがあります。 ・目がごろごろする、眼脂(めやに)がでている感じがする(眼異物感) ・まぶたが熱い(眼灼熱感) ・目が乾く ・目が痛い(眼痛) ・目が疲れる(眼精疲労) ・目が不快である、常に目が気になる(眼不快感) ・涙がでる(流涙感)
このような症状がございましたら、是非当院でもご相談ください。
有田先生の所属されるマイボーム腺関連疾患研究会(LIME研究会)の更なるドライアイ治療、マイボーム腺機能障害に関する研究のご発展に期待しております。また、この場で得た知識は今後の外来で役立てていきたいと思っております。
★マイボーム腺関連疾患の研究会(LIME研究会)はコチラ
平成27年4月25日