通常の眼底検査や眼底写真では正面からの変化しか判りません。しかし、OCT検査では、わずか0.2~0.3mmの厚さの網膜(しかも顕微鏡的には更に10層構造)を横から(断層像)観る事が可能です。OCTによる断層像では網膜の表面のむくみ(凸凹)具合や、従来の検査では観る事の出来なかった網膜10層の深部までの変化が正確に把握できます。
今回は「正常者」の断層像と、「黄班上膜」という疾患の為に黄班部が隆起し歪んでいる断層像の1例を掲載致します。黄班上膜の患者様は、ここ数年かなり増加しています。この疾患の病態に関しては今後「眼疾患と症状」に掲載する予定です。
通常の眼底検査では診断の付き難い他の黄班部疾患(加齢性黄班変性症・黄班円孔・中心性網膜症 等)や視神経疾患に対してもOCTは有効です!。
【写真左】OCTによる網膜の正常網膜の断層結果:網膜の表面は平滑で、すり鉢状に滑らかに凹んだ黄班部が明瞭にわかります。
【写真右】黄班前膜の断層結果:網膜表面上に膜が形成され(黄班前膜)、引きつられた形となり、黄班部の滑らかな凹みが消失しているだけでなく、隆起しているのが判ります!。その為に「像が歪んで見える」等の症状が出ます。