先日9月11日(水)に南多摩眼科医会総会が行われました。総会の後には東京医科大学八王子医療センター眼科の志村雅彦教授の特別講演があり聴講してきました。
眼の血管が詰まってしまう病気(網膜静脈閉塞症)の「最先端治療について」や「今後の治療方針の展開」についてのご講演であり、とても興味深い内容でした。
この疾患は血栓によって網膜血管が詰まる事により、血管が破裂し眼底出血を引き起こす眼の脳梗塞のような病気です。眼底出血が網膜の中心部(黄斑部)に及びますと、視力低下や変視症(歪んで見える)等の症状が出ます。治療には内服療法、レーザー治療、薬剤の硝子体注射、硝子体手術療法等があります。
黄斑部のむくみ(黄斑浮腫)が酷くなりますと矯正視力が0.1以下になってしまう事もあります。この黄斑浮腫を如何に防ぐか、また黄斑浮腫が重度になった場合の治療法は大変難しい問題であり、志村先生はこの疾患の治療に積極的に取り組まれておられました。私にとりましても大変参考になる有意義なご講演でした。
※網膜静脈閉塞症の眼底写真は当HPの「眼疾患と症状:第8回」に掲載しておりますので合わせて、ご覧ください。
この疾患は比較的ご年配の方に多く、脳梗塞と同様に動脈硬化症・糖尿病・高血圧症・心臓弁膜症 等の基礎疾患をお持ちの方に多く発症する事が多い傾向にあります。
しかし上述のような持病の無い若い方にも発症します!
血管を縮めてしまう「過度のストレス」や「喫煙等」も原因になりえます。また膠原病(こうげんびょう)を持病としてお持ちの方が発症する事もあります。女性では経口避妊薬の内服が原因になる事もあるので注意が必要です!
若い方も油断禁物ですので、「遠くも近くも見えない」「歪んで見える」「暗い部分がある」等の症状がある際は眼科受診を致しましょう(了)。
追記:
総会・講演会に出席の為、9月11日(水)は診療時間を18時までとさせて頂きました。そのため、一部の患者様にはご迷惑をおかけ致し、大変申し訳ございませんでした。
今後は日本緑内障学会(東京)・日本臨床眼科学会(横浜)・日本神経眼科学会(秋田)に出席を予定しております。患者様にご迷惑をお掛けしないよう休診は避けながらも学会には鋭意参加し、最新の医療情報を吸収して、患者様の治療に貢献して参りたいと考えておりますので宜しくお願い申し上げます。
今回は外来を終え、一目散に会場に向かいましたのでカメラを携帯するのを忘れてしまいました。
当コラムでは恒例?となりました記念写真を撮る事が出来ませんでした。その点だけは、とても残念でした。
9月15日