ドクター藤田の医療コラム 一覧

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コロナ禍における小中学生の近視に関して

投稿日:2023年2月10日(金)

コロナ禍における小中学生の近視に関しての質問事項回答

この度、学校医を担当している学校より「小中学生の近視に関して」質問がありました。

その回答を当院HPにも掲載させて頂きます。お子様の近視予防に役立てば幸いです。

 

質問(1):Chromebook等の適正使用時間に関しての回答

2019年に開始されたGIGAスクール構想がコロナ禍で前倒しされ「児童生徒に1人1台端末」の現実味が帯びてきています。とは言え、成長期の児童、生徒が長時間デジタルデバイスと向き合う状況に、眼等の健康被害が懸念される事も事実です。

大人であればパソコンを長時間観る事によって眼に疲労を感じ、肩こり等の症状が出やすいですが、小中学生は近くにピントを合わせる眼の「調節機能」が元気であるが故に、近くの画面に即時にピント合わせをする事ができます。モニターが近すぎても簡単にピント合わせが可能なため、疲労感も感じにくいと言われています。この状態は「調節緊張・痙攣」と表現する事もあり、仮性近視の正式な医学用語です。逆に(個人差はあるものの)40歳以降では「近くや遠くにピントを合わせる事に時間がかかる、またはピントが合わせられない」という「老眼・老視」になります。医学的正式名称は子供とは逆に「調節衰弱」と呼ばれます。あくまでも眼に他の病気が無い事を前提で解説しています。

小中学生の話に戻りますが、調節が緊張している時間が長引くことで「筋肉疲労」になっている事に自分では気付きにくいのが現実です。そのため近距離での視聴も長時間続ける事が可能です。「子供は大人よりも眼の疲れを訴えにくい」ということを念頭に、「視聴時間や、眼が疲れていないか否か」等と保護者の方が注意して、声かけをする必要があります。時間だけではなく、至近距離で視聴させない、目の疲れにくい環境(保湿など)を作る事も大事と思います。パソコンの周辺環境で言えば、タブレットやノートPCの小さな画面ではなく、外付けモニターを使用して、机やパソコンの高さも子供の姿勢にあった高さに設置する工夫も大事と考えます。

文科省の調査でも明確な適正時間は明記されていません。学校の授業時間、休み時間を参考に「50分程観たら15分は休む」という様な意見が多いと思いますが、近視、遠視、眼鏡の有無等の個人差もありますので適正時間に関しての明言は控えさせて頂きます。但し、長時間のパソコン作業をした後には、窓から遠くの景色をぼんやりと観る事は調節痙攣を癒す事になると考えます。

また当院を受診される患者様には近視化を防ぐ為に「パソコンは50Cm、スマホなどを観る際には30Cmの距離をとって観る事」を推奨しています。また、仰向けで寝た状態でスマホを観ると距離は10Cm程度になってしまうので「寝ながらスマホ、寝ながら読書は控える事」を推奨しています。

近くで観れば観るほど近視化する可能性(調節緊張・痙攣)が高くなると思われるからです。最近ではスマホ等を長時間観ている事によって眼の位置が内側に寄ってしまう「急性内斜視」の患者様も増えています。これは別名「スマホ内斜視」とも呼ばれています。タブレットやスマホなどの小さな画面のデバイスが普及して以降、急速に注目されはじめた症状です。以前から「輻輳痙攣(ふくそうけいれん)と呼ばれておりますが、パソコン・スマホが普及してより急増している事は間違いないと思われます。

また適切な姿勢で観ていない事により近い将来に「頚椎症」等の原因になる事もありますので、注意が必要です。

保護者の方がお子様に「黒板は見えている?」等を聞いてみる事や、近視の初期に診られる「眼を細める」「顔を傾けて見る」事が無いか等も観察する事も近視化の早期発見に繋がると思います。

近視になりたての状態=仮性近視(調節緊張・痙攣)の場合には点眼薬の治療で視力の回復は期待できます。

眼科での検査結果で「真性近視」と診断され、学業や生活に支障がある場合には適正な眼鏡装用が必要になります。近視化し、視力が低下した状態で長期間、眼を細めて見ていると短期間の間に急速な視力低下に繋がります。お子様自身だけでなく、保護者の方のお子様の状態(モノを観る時の眼の状況・姿勢など)の観察・注意も大変重要と思われます。

 

質問(2):「眼鏡を作ったが慣れない」の質問に関しての回答

メガネに慣れない原因が「見え方」であるのか、メガネをかけると側頭部や耳の周囲などが痛いのか?メガネをかける事自体がうっとうしいのか、ただ単にメガネをかけたくないのか?によります。

※原因が

1)メガネでの見え方である場合:近視である場合に限って説明いたします。

メガネを装着したり、しなかったりを繰り返していると、メガネを外した時に、メガネ使用開始時より見えにくく感じるために眼を細めて「調節緊張状態」となってしまい、一時的に近視が強くなります。これを繰り返すと、短期間に近視が強くなってしまいます。その為に「メガネをかけてもよく見えないから」という事で常時装用しない事も考えられます。

近視のメガネは「遠く(黒板等)が見えればいい」というものではなく「遠くも近くも楽に見える」事が重要です。その為、強すぎる近視レンズ(過橋性レンズ)で無いか否かを確認する事が大事です。その場合にはかかりつけの眼科医に相談してみましょう。

2)メガネをかけると、側頭部や耳周囲などが痛い場合:

コロナ禍に入り、マスク生活が余儀なくされています。マスクもメガネも、共に側頭部や耳の周囲に負担(圧力)をかけてしまいます。その為、耳の周囲に接触性皮膚炎という炎症を起こしてしまいます。耳の周囲を観察して、痛みを訴えたり、皮膚が荒れている様であれば、マスクの種類を変える事や、メガネを購入した眼鏡店に持参し、メガネのフィッティングを再度調整してもらうことも重要と思います。皮膚の荒れが酷かったり、痛みが強い場合には皮膚科か耳鼻科の受診が必要になる場合もあります。

3)メガネをかけるとうっとうしい場合:

この場合もメガネのフィッティングがあっていない可能性がありますので眼鏡店にてフィッティングを確認の上、調整してもらうか、重量の軽いものに変更するかの検討が必要かもしれません。

4)単にメガネをかけたくない場合:

近視の場合は、上述の如く、装着したりしなかったりする事で近視が進行し、良好な視力を得るために近視様のレンズの度数がドンドン強くなり、実際の眼の大きさより、周囲の人から見て折角の大きい眼が小さく見える様になってしまいます。その様にならない為にも「メガネ装着の継続」をお奨めください。また「フレーム自体が気に入らない」事も考えられますので、お子様とメガネに関してよく話を聞いてあげてください。

 

※以上が回答になりますが、コロナ禍においてメガネは飛沫を浴びる事の防止効果もあります。

メガネはフェイスシールド的な役目を持っているという事です。コロナ感染対策にもなりますので、コロナ禍ではコンタクトレンズより、メガネを推奨しています。

 

質問(3):「視力を回復する方法がしりたいです」の回答

上記に関しては下記1)~6)が行われております。

1) 仮性近視=調節痙攣である場合には点眼治療と生活習慣の注意で回復する事があります。

2) 眼鏡・コンタクトレンズ装用   3)オルソケラトロジー

3) レーザーによる屈折矯正手術(レーシック等) 5)ICL(眼内コンタクトレンズ)

6)白内障手術  等があります。

上記3)~6)に関しては当院では施行しておりません。

また保険適応外の近視治療であるオルソケラトロジーやICL等に関しましても質問がありましたが、効果や費用も施設によって差がある事より回答の詳細は控えさせて頂きます。この点は御了承下さいませ。

 

質問(4) :「小児眼科に力を入れている眼科が知りたい」に関しての回答

コロナ禍に入ってより、小児眼科に対応していない(出来ない、又は一時中止している)眼科施設も出てきています。

コロナ禍前は当院でも未就学児の患者様の斜視・弱視の検査も視能訓練士(ORT)によって行っ

て参りました。コロナ禍に入ってより未就学児の方の視力や斜視に関しての検査や、外傷などの

対応は一時中止しております。理由は下記になります。

1) 検査に長時間を要する(特に斜視検査や外傷)。

2) 斜視検査では特に、お子様と検査員(ORT)の長時間の会話を要する事。

※特にマスク装着の難しい方の場合には、お互いの感染リスクが高くなるため

※オミクロン株ではお互いがマスク装着下であっても50Cmの距離では感染リスクが高いとされています。

3) 小さいお子様の外傷の診療では、お子様自身に対する衛生管理が難しい。

上記医学的理由により中止しております。

 

現在の小児の眼科検査対応機関に関しましては、下記八王子市大横保健福祉センター

TEL:042-625-9200 に お問い合わせをお願い致します。

 

 

令和5年2月
みなみ野眼科クリニック

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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医院情報

医院名
医療法人社団 幸乃会
みなみ野眼科クリニック
診療科目
眼科
診療内容
一般眼科・小児眼科・神経眼科・特殊眼科
電話番号
042-632-5888
042-632-5888

みなみ野眼科クリニック 診療受付時間

休診日
木曜・土曜午後・日曜・祝日
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〒192-0917
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