荒川仁人選手検診に現る!

みなみ野眼科クリニックは本日午前診察をもちまして8月18日(日)まで夏季休診とさせて頂きます。

8月19日(月)からは通常通りの診療をさせて頂きますので宜しくお願い申しあげます。

さて夏季休診前の最後の患者様は・・・、そうです!、先日ボクシング世界王座に挑戦したばかりの八王子中屋ジムの荒川仁人選手でした。

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荒川選手は先月27日、米国サンアントニオにてWBC世界ライト級暫定王座決定戦に挑みましたが惜しくも「判定負け」となりました。然しながら米国各メディアでは荒川選手の試合に対し「年間最高試合の有力候補」と大称賛されており、本人の世界ランキングも第3位にとどまっているとの事です。

中には「国外で負けはしたが、彼の株はスカイロケットの様に伸びるだろう」「タイムカプセルに入れて後世まで残したい」との賛辞もあった様です。帰国後も米国各メディアからのオファーが殺到している様です。

私も試合をテレビ放送(WOWOW)で観ましたが、本当に凄まじい打ち合いでした。なんと言っても荒川選手の放ったパンチは試合中合計1170発!、相手のフィゲロア選手は942発!。2人合計で繰り出したパンチの合計数は2112発!、因みに歴代ライト級タイトルマッチ史上第1位の数字だそうです!。

その壮絶な試合をテレビで観た私は、眼科主治医として帰国後の眼科検査に正直な処、少々不安を隠せませんでした。しかし今日の詳細な眼科検診の結果、「全く異常なし」でした。あれだけのファイトの後ですので、何かしらの外傷後の治療が必要となる眼科的所見も予想されましたが目薬も処方すら必要なく、いい意味で予想が外れ私自身もホッとしました。流石は世界の頂点を狙う男っ!。942発のパンチを繰り出されても「ガードはしっかりしている」事の証明だと思います。

荒川選手からの申し出で「自分の診察の順番は最後でいいので、診察が終わったら記念撮影を」との事で職員一同(土曜日の出番だけですが)と記念写真をパチリ。こちらこそと恐縮しながらも数枚写真を撮らせて頂きました。

撮影中に荒川選手が「試合中に相手のパンチが眼に当たった時には先生の顔が脳裏をチラッと横切る」と言ってくれましたが、彼の人柄の良さをまたまた垣間見た様な気がしました。

現在は世界戦直後の為、一時的にインターバルをおいているようですが、世界戦前の彼の眼の輝きには衰えはありませんでした。また会話の中でも「彼の視野には世界が見えている」という事が充分に伝わって来ました。

しっかりと世界戦の疲れを取ってから、世界を見据えた再挑戦に期待しています。

これからも、みなみ野眼科クリニック職員一同、荒川仁人選手を応援し続けます。

この度は夢と感動を有難うございました。   本当にいい人なんですっ!。

 

試合詳細は「BOX-ON」で検索頂き、「ボクシングニュース」の7月29日更新分に掲載されております。お時間のある方は是非ご覧ください。

本当に暑い日が続きます。皆様ご自愛くださいませ。

夏季休診後も向上心を持ち続け、更なる適切な医療を御提供出来ます様に職員一同、頑張りますので宜しくお願い申し上げます。

みなみ野眼科クリニック院長

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NHK「ためしてガッテン」で緑内障が取り上げられました。

7月31日のNHKの「ためしてガッテン」は緑内障を題材とした内容でした。

自覚症状の少ない「緑内障」による失明を防ぐ為に、いかに早期に発見する事が重要であるかという事が主な内容でした。

一般的な眼科的検査は勿論、その中でも3次元光干渉断層計(以下:OCT)検査が如何に重要であるかが放送を観られた方にはお判り頂けたかと思います。

当院にてNIDEK社製では最新鋭・最高基準(現時点)のOCT(RS-3000Advance)を取り入れてから約半年が経過し、緑内障早期診断は勿論、通常の眼底検査では明確でない網膜・黄班部病変の診断にもOCTが大活躍中です!

幾つかの眼底のOCT画像解析過程や解析結果の写真を提示致します。ここでは画像説明はあえて省かせて頂きますが、他にも種々の解析結果の提示が可能です。当院では患者様の疾患(緑内障・黄斑変性症等)に合った、判り易い解析結果をお見せした上で、病状について説明させて頂いております。

1回の説明で全てが御納得頂ける事は難しいと思いますが、「出来る限り判り易い説明を」と心がけております。

大事な検査結果ですので医師の解析結果の説明でご不明な点はご遠慮なく何でもご質問ください。

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初期緑内障

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中・後期緑内障

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また年内には「RS-3000Advance型のみ」に更なるバージョンアップの予定(詳細時期不明)もあります。

更に鮮明で広範囲の画像診断が可能になり、眼底疾患の診断が正確になる事が期待されています。私自身も楽しみにしている今日この頃です。

 

★下記に緑内障の危険因子(リスク)をいくつか記載させて頂きます。お心当たりのある方、緑内障に対するご不安のある方は、お気軽に御相談下さい。

1) 近視の強い方。2)緑内障の家族歴のある方。3)外傷歴のある方。4)ストレスの多い方

5)動脈硬化症・高血圧症・低血圧症の方。 6)ステロイド剤や眼圧上昇の危険性のある薬剤を長期投与している方。

7)その他

 

また番組内では「緑内障早期診断の為、5年に1度は眼科検診を」とコメントされておりましたが、5年に1度の眼科的検査は現時点で緑内障のリスクの無い方に対してのコメントであると考えます。

上記記載の一般的リスク以外に「視神経乳頭の深い陥凹」「高眼圧」等を指摘された方は、程度にもよりますが最低でも1年に1度の緑内障検査は必要と考えます。

 

★早期発見で現在失明率第1位である緑内障の失明率を低下させましょう★

 

※クリニックより患者様各位※

7月下旬より学校が夏休みに入り患者様が午前に集中し大変混雑している状況です。患者様方には大変ご迷惑をお掛けしております。今後も更に短い待ち時間で迅速且つ確実な診断が出来る様に努力していきたいと思っております。7月下旬の傾向では午後4時頃から5時半頃までは比較的時間に余裕がございます。お時間にご都合がつかれる方はこの時間帯の御受診をお奨め致します。万一、この時間帯にも混雑がありました際にはご了承くださいませ。

厳しい暑さや急な集中豪雨(ゲリラ豪雨)、また寒暖差が激しい昨今、体調を崩しやすい時期と思います。

皆様ご自愛くださいませ。

 

みなみ野眼科クリニック 院長

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第9回:他科の疾患と関連する眼疾患(その1:アトピー性皮膚炎)

糖尿病や高血圧から眼底出血などを引き起こす事は有名ですが、他科の意外な疾患が原因となり、眼科的な病気を引き起こす事があります。

今回からは数回に分けて「一般的に眼科とは無関係と思われがちな病気が、実は眼科的な病気の原因になっている場合がある」という事に関してお話しさせて頂きたいと思っております。
今回の皮膚科的疾患をはじめとし、今後は脳神経外科・内科(膠原病、内分泌、呼吸器、血液、腫瘍 等)や耳鼻科的疾患等と、眼疾患の関連について掲載させて頂く予定です。

★1回目は皮膚科的疾患の「アトピー性皮膚炎の方に多い眼合併症」です。★

「アトピー性皮膚炎:以下アトピー」は皮膚科的疾患ですが「眼科的合併症が多い事」が意外に知られていない疾患です。その合併症には軽症のモノから、なんと、失明に及ぶ事もある重症眼疾患もあります。

※注)下記に記載する疾患は決してアトピーの方だけに発症する疾患ではございません。またアトピーの方が必ず罹患する疾患でもございません。

「白内障」や「アレルギー性結膜炎」という有名な病名から、普段聞きなれない「円錐角膜」「春季カタル」「カポジ水痘様発疹症」等や、意外とも思われます「網膜剥離」まで、本当に多種・多様な眼合併症がアトピー性皮膚炎に多い事を知って頂ければ幸いです。

今回、眼の健康を守る意味で重要な事は「眼を擦る事=眼の外傷」であり、下記の病気を誘発したり、全ての症状を悪化させます! 

×こすっちゃダメ!×

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★症状①:視力低下

 1)白内障:

A)アトピー性白内障

アトピーの方は10歳代の思春期にも発症します。

原因には諸説ありますが、眼を強くこする事(外傷説)も原因と言われておりますので、眼をこすり過ぎないように注意しましょう。

B)ステロイド白内障

アトピーに対するステロイドの長期内服等が原因となります。10代でも発症する事があります。

またアトピー以外でもステロイド長期内服中の方は「ステロイド高眼圧症・緑内障」も発症する可能性もありますので、症状が無くても定期的に「眼圧・眼底検査は必要」であると考えます。

 2)円錐角膜

角膜(黒目)の中央部が円錐状に突出する進行性の角膜疾患です。

眼鏡で充分に矯正出来なき程の乱視、ハードコンタクトを用いても充分に矯正視力が得られない場合には、「円錐角膜」が無いか否かを見極める必要があります。

また円錐角膜は進行性の乱視ですので、眼鏡やコンタクトレンズを作成しても短期間で視力低下を訴える事が多い傾向にあります。治療は「適切なハードコンタクトレンズの装着」になります。放置すると角膜移植が必要になる場合もあります。

 

★症状②:マブタや眼が痒い・痛い・荒れている。

 1)アレルギー性結膜炎

アトピーの方には高率に合併します。これは比較的有名な合併症です。

慢性疾患ですので、適切な点眼治療で目をこすらない様にする事で、白内障や(下記に記載する)網膜剥離の発症予防にもなります。

 2)春季カタル(注意疾患)

アレルギー性結膜炎の重症型です。瞼の裏に「巨大乳頭」と呼ばれるブツブツが形成されます。まばたきをする度に、この巨大乳頭が角膜をこすってしまう事により、角膜を傷つけてしまいます(角膜びらん・角膜炎)。

治療は抗アレルギー作用のある点眼及びステロイド点眼の処方を行います。また角膜保護や2次感染予防のために抗生剤点眼や眼軟膏を使用する事もあります。

また「ステロイド点眼が有効でない」「ステロイド剤が合わない」「ステロイド剤の使用が長期になっている」方は眼圧上昇や角膜の2次感染等の副作用も危惧されます為、免疫抑制剤点眼(シクロスポリン点眼 等)を使用いたします。主治医とよく相談しましょう。更に薬で改善を診ない重症例では「巨大乳頭」を取り除く手術が必要になる場合もあります。「春季カタル」という病名ですが、通年性の疾患です。

春季カタル

春季カタル:通常は表面がなめらかであるべき「マブタの裏(瞼結膜)」にブツブツ(巨大乳頭)が形成され、マバタキをするたびに黒目(角膜)の表面をこすってキズをつけてしまう(角膜びらん)。

 3)アレルギー性眼瞼炎

瞼のアレルギー性の炎症です。病変が広範囲でなければ局所療法として程度に応じて非ステロイド系の軟膏や、ステロイド軟膏を処方致します。

病変が広範囲に及ぶ場合には抗アレルギー剤の内服も併用します。

また、ステロイド眼軟膏の処方には下記に記載する「カポジ水痘様発疹症」や「帯状疱疹初期」との鑑別が重要になります。

 

※特に上述1)~3)までの疾患に関しましては、どうしてもステロイド点眼・軟膏・内服の処方が必要となる場合がございます。その為、当院では処方薬がステロイドの点眼・内服のいかんに拘わらず「糖尿病などの既往歴」「風邪に罹患していないか」等、ステロイド剤の投与の可否に関して重要となる問診を大事にしております。

眼科的にも「角膜に問題が無い事」「緑内障が無い事」「高眼圧」でない事も検査・診察にて確認をしています。

処方後も、投与が比較的長期に及ぶ場合には定期的に「顕微鏡検査」「眼圧検査」「眼底検査」等でステロイドの副作用発現のチェックをしております。その点はご安心頂ければ幸いです。

 4)カポジ水痘様発疹症

原因は「単純ヘルペス」というウイルス感染です。アトピーの方は皮膚自体の免疫力が低下していますので、一度治っても何度も繰り返す事が多い傾向にあります。特に初期は通常の「アレルギー性眼瞼炎との鑑別」が重要になり、安易にステロイド眼軟膏を処方すると返って悪化する事になりますので、問診上「アトピーが無いか」「最近、風邪をひいてないか」「疲れていないか」等を聞く事も重要になります。

 5)帯状疱疹

「眼にも帯状疱疹が出来るのか?」と良く質問を頂きますが、三叉神経という「痛みを感じる神経」の通っている場所にはどこにでも発症する可能性があります。

健常人でも発症しますが、特に免疫不全の方や疲労の蓄積された方に発症致します。同様の理由で、慢性的に「皮膚の免疫低下状態」であるアトピーの方に多い傾向があります。

原因は「帯状疱疹ウイルス」であり、初感染は水疱瘡の形で発症し、体内に残っているウイルスが免疫低下した際にいろいろな箇所に再発をします。

『※4)5)に関しましては程度に応じて「抗ヘルペス薬の軟膏」「抗ヘルペス薬の内服」等で治療いたします。但し、頭痛などの髄膜刺激症状がある方、2つ以上の神経支配領域に発症した方は、入院・安静・点滴療法も必要になる事もあります。

特にヘルペスの眼合併症には角膜炎・結膜炎・虹彩炎等、多種多彩です。

稀ではありますが眼球運動障害(眼の動きが悪くなって二つに見える)、視神経炎(突然の視力低下)を引き起こす事もあるので、治癒した様でも眼の症状には気を付けましょう!※』

 6)角膜感染症やドライアイ

眼周囲の単純ヘルぺスや帯状疱疹の発症が原因となり、ヘルペス性角膜炎を併発する事があります。眼瞼に発疹は無くても、いきなりヘルペス性角膜炎を発症する場合もあります。
またアレルギー性結膜炎や眼瞼炎、春季カタルによる慢性的な角膜の擦過(自分で目をこすったり、巨大乳頭によって角膜がこすられる事)による傷に細菌が感染しますと「角膜潰瘍」を発症する場合もあります。アトピーの方が眼の違和感や異物感を感じました際には速やかな眼科受診をお奨めいたします。

※近年はドライアイとアトピーの関連も示唆されております※

★症状③:飛蚊症・光視症・視野欠損

 ※網膜裂孔・網膜剥離

アトピーの眼科的合併症としてはあまり知られていないのが現状です。

アトピーの方は思春期でも網膜剥離を発症しやすい傾向にあります。

飛蚊症や光視症等の自覚症状の無い場合もありますので、アトピーの方には年一回の散瞳剤を用いての詳細な眼底検査をお奨めしております。

アトピーの方に網膜剥離が多い原因としても諸説ありますが、白内障と同様に「眼を長期に渡ってこする事」という外傷説が有力と私自身は考えております。

弱い外傷でも長期続く事によって、目の中にある「硝子体の融解・減少が年齢より早くおこる」事が原因ではないかと思っております。網膜剥離の発症様式の詳細に関しましては「眼疾患と症状:第3回」の項目をご参照ください。

※「眼を強くこする事=眼球鈍的外傷」とお考えください!※

 

ご不明な点は、主治医にお尋ねください。

 

文責:藤田

 

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★プール熱:警報!!★

プール熱(咽頭結膜熱)の患者様が八王子市全域で増加傾向にあります。

プール熱の患者様数を報告している「定点」とは地域で定められた「一部の小児科」のみであり、眼科は含まれておりません。従いまして実際は「報告数の数倍の患者様がいる」という事になります。

対象疾患ごとの発生状況も特に「みなみ野地区」では警報レベルを超えております(下記URL参照)

※対象疾患ごとの発生状況※

http://www.city.hachioji.tokyo.jp/hoken_iryo/hachi_hokenjyo/9757/032318.html

プール熱の主症状は、高熱 ・ 眼の充血とメヤニ・のどの痛みですが、全ての症状が揃うのに時間がかかります。また困った事に最後まで結膜炎症状は出ない場合もあり、後に感染してしまった方には強い結膜炎症状が出る場合も少なくありません。今年は、眼の症状が強いのは大人の方に多い傾向があります。

感染源はプールだけではありません。患者様の「咳やクシャミ」等のしぶき(飛沫感染)、接触感染でも感染する感染力の大変強い疾患です。抵抗力の弱い低年齢のお子様がかかってしまう事の多い病気ですが、大人も発症する病気です。特に今年は家族内での感染拡大が多い傾向にあります。

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この時期(6~8月)は、突然の高熱や「のどの痛み」が出た場合にはインフルエンザよりも、まずプール熱を考えるべき季節です。上述の如く、眼の症状(充血・メヤニ)は出ない場合もあります。小児科で喉からアデノウイルスが検出された場合は、眼の症状が無くても「プール熱」と考えましょう。

学校保健法では主症状の消失から2日経過すれば「登園・登校可能」と言われておりますが、症状消失後も2~3週は感染力を持ったウイルスが便から排泄されますので感染拡大を防ぐ為に、登園・登校許可がおりて登園・登校してもプールに入るのは2~3週間は控えましょう。プール熱で当院を受診される大人の患者様から「子供の主治医からは特にプールに入れる時期に関しての説明は無かった」という事を度々耳に致します。『登園許可=プール可』と思っておられる方が多い傾向にありますが、これが更なる感染拡大を招く原因となります!!。

ご家庭での入浴に関しましても発症から3~4週間は感染者の方が最後に入る様に注意しましょう。

※便からのウイルスの排泄期間に関しては八王子市のHP「対象疾患の説明」にも明記されています。※

対象疾患の説明:http://www.city.hachioji.tokyo.jp/hoken_iryo/hachi_hokenjyo/9757/010028.html

 

既にプールが始まっている施設が多いと思います。プール熱に罹患した方は、主治医から登園・登校可能時期だけでなく「プールに入っても安全な時期」に関する説明もしっかりと受けて下さい。病気が治って元気になっているのにも拘わらず「2~3週間プールを休む」という事はお子様に取っては大変辛い事だと思います。しかしながら★主治医の説明不足★によって「プール熱が治った直後の一部のお子様だけが登園・登校してすぐプールに入っている」という現状では、更なる感染拡大に繋がります。また医師の注意を守ってプールを休んでいるお子様の我慢が無駄となり可哀想すぎます。

事実、数年前にプール熱が大流行したある幼稚園では「登園許可が出たので登園直後にプールに入らせていた」という事実も確認しております。医師の注意・説明が最も重要とは思いますが、ご家族の御理解・ご協力も必要不可欠かと思います。「自分の子は治ったから、もう感染しない」という考えは間違いだと思います。今まで一緒に遊んできたお友達や、そのご家族の事も考えて頂きたいと思います。更に幼稚園・保育園・学校関係者の方も、この点の管理を一律にして頂ければ更なるプール熱の増加を食い止める事は出来ると思います。

原因になるアデノウイルスには何種類ものタイプがあり、「小児だけが発症するタイプ」「大人にも感染するタイプ」がありますが、今年の(現段階での)プール熱は大人にも感染するタイプのようです。

皆様が楽しく、安心してプールを楽しむ為にも医療従事者の詳細な説明は勿論、保護者の方、幼稚園・保育園・学校関係者の方々の御理解・ご協力が必要となります。

小さなお子様や免疫不全の方々が「プール熱」にかかると更に抵抗力が落ちてしまい、中耳炎や副鼻腔炎(蓄膿症)、時には肺炎を合併する事もあります。「プール熱」はインフルエンザの様に予防薬(ワクチン)や特効薬も無く、時には肺炎等を引き起こし、重症化して入院例もみられるという、ある意味インフルエンザより厄介な病気です。この病気からお子様を守る為にも、このコラムを参考にして頂ければ幸いです。

※プール熱の原因となるアデノウイルスの別タイプが引き起こす「流行性角結膜炎」も接触感染や飛沫感染は勿論、プール内でも感染致します。プール熱と同様の注意が感染の拡大予防に繋がりますので合わせてご注意いただければと思います。

 

★プール熱は感染力が強く、院内感染が懸念される疾患です。「プール熱かな?」と思われました際には、小児科・眼科の「かかりつけ医」に電話で症状のご一報をした上での御受診をお奨めします。院内感染の原因としては、① 医師の手洗不足。 ②患者様の咳やクシャミ。③ メヤニや咳の付いた手で触れた、ドアノブやエレベーターのボタンでの接触。 ④トイレ内などの濡れ場での感染等が多いとされます。受診前に患者様のメヤニや咳・唾液の付いた手を充分に洗ってからの御受診をお願い申し上げます。

またプール熱が治癒しても、発症より3種間以内に「他の症状」や「慢性疾患」等で他の科に御受診の際に、「〇〇頃にプール熱にかかった」旨を各医療機関受付時に申告して頂ければ、2次感染を防ぐのみでなく、新たな症状の病気の診断の参考になると思います(中耳炎・気管支炎・副鼻腔炎等々)。

地域の皆さんが安心して各医療機関を受診できるように、また楽しくプールに入れるように地域の感染拡大を防ぐ為にも、御理解・御協力の程をお願い申し上げます。

八王子市の小児感染症発生状況(感染症週報)のURLを下記に貼り付け致します。

毎週水曜日に更新されますので「感染症予防」のご参考になると思います。お時間のある際にご覧下さい。

※小児感染症定点報告数週報(八王子市HPより)※

コチラ→ http://www.city.hachioji.tokyo.jp/hoken_iryo/012555.html

 

最後に、この度は快くリンクを承諾して頂きました健康福祉部(八王子市保健所)保健対策課 感染症対策担当者様には感謝申し上げます。

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感動の再会・・・眼科医なら必ず知っている著名な先生方です!

6月15日(土)に東京都眼科医会定時代議員会に「南多摩代表」として出席して参りました。

東京都だけではなく、「日本眼科医会」の会長を筆頭に役員の方々による白熱した討論が3時間にわたって交わされ、
初出席の私は終始圧倒され気味でしたが「南多摩眼科医会」にとっては勿論、私自身にとりましても大変に有意義となる会合でした。そんな中で、今や著名人となられた先生方との感動の再会がありました!。

嬉しさの余り、お忙しい中にも無理やり撮らせて頂いた記念写真を下記に掲載させて頂きます(^_^;)。

お一人目は都眼科医会の常任理事を務めておられる福田敏雅先生です。北里大眼科の先輩で、網膜硝子体疾患に関しては、私の師匠です。『自分が勝手に思い込んでいるだけかもしれませんが(^_^;)・・・』。

福田先生のお父上は、あの有名な糖尿病性網膜症の「福田分類」を作られた福田雅俊先生です。

福田敏雅先生には主に糖尿病性網膜症や網膜静脈閉塞症に対する有効なレーザー治療方法:その疾患で視力低下を引き起こす原因となる「黄班浮腫(網膜の中心部のむくみ)」を、いかに引き起こさない様にレーザー治療を施行すべきか、又は「黄班浮腫」を引き起こした場合の対処法:等の「秘伝」を伝授して頂きました。私が入局した頃には福田先生は既に北里大学病院眼科においては非常勤となっておられ、東京女子医科大学糖尿病センター眼科をはじめ各地で御活躍されておりました。短い期間ではありましたが外来や手術室において、福田先生の下で勉強させて頂いた事は、その後の私の眼科医人生の中で最も貴重な経験として、今でも臨床に役立っていると思います。

然しながら、私が開業後に出不精となった事もあり、数年前に福田先生にOB会で久しぶりにお会いした際に「たまには眼科医会にも出席しろ!」と厳しいお顔でお叱りを頂き、その後も医会に参加する事が出来ずにいた為、福田先生に対する敷居がチョモランマの様に高くなっていました。その様な状況の為に御挨拶にも伺えず、同じ医局出身の三井義久先生(現:文京区眼科医会会長)を頼り切り、2人で端のテーブルで食事を取りながら話し込んでいました。その様な時に突然、福田先生がこちらに向かって来られるではありませんか!。そして・・・「おっ、北里出身者も会長や代議員になって会に来てくれるのは本当に嬉しいよ」とお言葉を頂戴し、胃の中にドスンと置かれていた「石」が一瞬にして流れ出た様な気持ちになりました。「これからは出来るだけ多くの会合に出席する様に努力致します」と心の中で思いながら、記念写真を撮らせて頂きました(^_^;)。

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▲(左)三井義久先生  (写真中央)福田敏雅先生

 

お二人目は日本眼科医会会長高野繁先生です!。 高野先生の周りには「当然」と言うほど黒山の人だかりが・・・。福田先生の件でスッカリ自信を取り戻した自分は「自分の事なんて覚えてないだろうなぁ」と思いながら無謀にも単身挨拶に向かい、「南多摩の藤田と申します」と名刺を差し出しました。高野先生は当初は「あっ、どうも」という感じで定型通りの御挨拶をして下さった後に、突然!!!、何かを思い出された様に、「おいっ!、ちょっと待てよ!。藤田って、あの藤田かよ!」と・・・。そうなんです。実は20年ほど前にちょっとした「ご縁」で高野先生とは面識があり、お酒の席を2~3度ご一緒させて頂きました。当時は若気の至りか勢い余って高野先生に絡みまくってしまいました。「嫌われたな~」と思っていた処に高野先生から突然、私自身生涯初めて(で今の処最後となっている)のゴルフコースへのお誘いが・・・。全くのゴルフ初心者の私を最終コースまでリタイヤ寸前になっても見捨てずに、最後まで優しく、怖いキャディーさんからも守って下され、無事ラウンドを終了させて頂いたという楽しい思い出があります。もっとも高野先生にゴルフに誘われてからの1週間は「打ちっぱなし」に通いまくりましたが・・・。まさにそれ以来の再会にも拘わらず、自分の事を覚えていて下さった上、連絡先の交換までして下さいました。20年前と少しも変わらず、とてもフレンドリーに接して下さり、「お前、少しは偉くなったのかよ?」と問いかけられた際には、「日本眼科医会会長より偉くはなれないっす」と答えるのが関の山でした(^_^;)。嬉しさ余って、またまたホテルの人に記念写真を撮って頂きました。

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▲日本眼科医会会長 高野繁先生と

やはり人間、外に出ないといけませんね!。クリニックに閉じこもらない様に大学時代を思い出し、初心に戻って、今後は幅広く活動できる様に頑張ろうと思います。

 

処で、皆様には「何故、こうも都合よく写真が撮れるのか?」との疑問があると思いますが、実は知り合いの美容師さんがブログを始めた時に、本人から「ブログを更新する為にラーメン屋に行く度に写真を撮ってUPしてるんだ」と聞いたので、自分も何かの際はと、HP開設後は眼科関係以外の外出時でもカメラを持ち歩くのが癖になってしまいました。

昨日もミっちゃん(三井義久先生)が「藤田先生に写真を撮られるとHPに掲載されますよ」と福田先生に告げ口?していました(^_^;)。 流石は情報通の三井先生です。当ホームページに2月25日付けで掲載しました「ドクター藤田の医療コラム:勉強会と祝賀会」において掲載した会合中の写真にまで、しっかりと目を通していた様です。

勿論、HPに掲載する旨は皆様ご本人の了解を必ず取っておりますので、今後、私と会う予定の方々も、その点はご安心の程を・・・(^_^;)。

 

最後になりますが、昨年度までは「社団法人東京都眼科医会」でしたが、今年度からは「公益社団法人東京都眼科医会」となりました。従いまして今回は記念すべき「第一回公益社団法人 東京都眼科医会 定時代議員会」になるという事でした。その記念すべき代議員会に出席させて頂いた事をとても光栄に思います。

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眼疾患と症状 第8回:ストレスが原因となる眼疾患:その2 緑内障も? 追加しました

眼疾患と症状 第8回:ストレスが原因となる眼疾患:その2 緑内障も?  追加しました

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第8回:ストレスが原因となる眼疾患:その2 緑内障も?

今回は一般的にストレスが原因となり得る眼疾患について解説させて頂きます。

現代はストレス社会です。人間には自律神経と呼ばれる神経があります。自律神経とは?簡単に言いますと「自分の意思とは関係なく外的な刺激や情報に反応し、体の機能をコントロールしている神経」の事をいいます。自律神経には主に興奮に関与する「交感神経」と、それを抑制する「副交感神経」の2つがあります。この相反する2つの神経が天秤の様にバランスよく働いている事により、心や体の健康を維持してくれていますが、ストレスが原因で交感神経が働き過ぎる状態になり自律神経のバランスが崩れ、健康を維持できなくなる事があります。

★眼に関係する自律神経の主な働き★

1)交感神経の働きが活発になると

①瞳孔が大きくなる ②涙の量が少なくなる(涙腺) ③血管が収縮する(細くなる)

④血圧が高くなる

2)副交感神経の働きが活発になると

①瞳孔が小さくなる ②涙の量が増える(涙腺) ③血管が拡張する(広がる)

④血圧が低くなる

という具合に両神経のバランス状態によって相反する反応が出てきます。両者は天秤の様になっており、その天秤がどちらかに傾く事によって、いろいろな体の異常が出てくることになります。

病気ではないにしても、特に若い子が「あ、あそこに綺麗な異性がいる」とドキっとしただけでも、興奮作用の交感神経が有意となり瞳孔が大きくなります。また嘘を付いた際にも心の動揺が興奮を招き、瞳孔が大きくなります。自律神経とはこの様な些細な事に関与していますが、長期に渡りバランスが崩れる事によって眼だけでなく全身的にも様々な病気を引き起こす事があります。

★自律神経のバランスが崩れるストレスの原因(抜粋)★

1)       長時間の通勤

2)       人間関係(職場・自宅)

3)       仕事のノルマ達成に対するプレッシャー

4)       不規則な食生活・睡眠不足

5)       心配性(忘れ物、火の消し忘れ、鍵をかけて来たか等の気にし過ぎ。その他、不安神経症等)

6)       テレビ・ゲーム・携帯電話・パソコン等の見過ぎ

これらがストレスの原因となり、その結果、交感神経が働き過ぎるようになります。

その結果、心体の恒常性が保てなくなる事により体調に様々な変化を引き起こしたり、

種々の病気の発症に一因となってしまいます。

交感神経が働き過ぎる事だけが問題なのではなく、ストレスが多い為に交感神経ばかりが働いて、それを修復する副交感神経が充分に働けない事が問題と言われています。

それではストレス等で自律神経のバランスが崩れる事により惹起されやすい眼科疾患について簡単に説明させて頂きます。

1)ドライアイ

涙を分泌する「涙腺」は副交感神経が支配している為、ストレスで交感神経が働き過ぎ、副交感神経の働きが追いつけないと涙の量は減少し眼は乾燥気味になってしまいます。眼がショボショボしたり、長時間モノを見ていると霞み、視力低下の原因にもなります。重症だと異物感が強くなり、眼が開いてられなくなる場合もあります。最近、新しい優秀な点眼剤の開発もあり、かなり有効な治療効果を得ている現状です。

2)緑内障:特に正常眼圧緑内障

最近は緑内障の患者様が急増していると言われておりますが、従来の「眼圧が高い」「視神経乳頭の陥凹が深い」「緑内障特有の視野欠損がある」という典型的な緑内障、いわゆる「原発性開放隅角緑内障」というタイプより、眼圧は正常である「正常眼圧緑内障」が増加傾向にあり、疫学調査でも特に日本人には正常眼圧緑内障が多いという報告もあります。この疾患もストレスによる視神経に対する慢性的虚血、つまり「血の循環が悪く充分な栄養が視神経に供給されない為、正常眼圧にも視神経が耐えられず細胞障害が起きる事によって視野が徐々に欠損していく」事がその病態ともいわれております。

この様に昨今は「緑内障の原因として、ストレスも1つの要因である!」と言われています。

よく、人間ドックや会社の検診で「自分は毎年、眼圧検査をしているので、緑内障は大丈夫」と言われる患者様が多いのですが、眼科医の立場から言わせて頂ければ、「検診では眼圧を測る事より、眼底写真で視神経を評価する方が望ましい」と心から思います。

正常眼底

▲正常眼底

視神経乳頭の深い陥凹の末期の眼底写真

▲緑内障眼:視神経乳頭の深い陥凹(白い部分)が著明で、視神経乳頭の全体的な蒼白、萎縮が認められる

 

正常眼圧緑内障の治療は眼圧下降作用のある点眼薬を用いますが、眼の循環改善作用の成分を含む点眼薬を第1選択薬としています。また患者様から「パソコンの見過ぎは大丈夫か」等の質問を受けますが、仕事上必要な事は目に見えていますので、「過度にならなければ、またストレスにならない程度に」とお答えしております。「パソコンはストレスにより緑内障の悪化が危惧されるので絶対に観ないで下さい」と言っても現実には無理な事です。個人個人の環境にもよりますが、適度にパソコン業務を行う事には問題は無いと考えます。

私自身が緑内障であっても仕事でパソコンは使うでしょうし、楽しみでパソコンを観る事もあるでしょう。それがストレスの発散のための気分転換に繋がるのであれば問題は無いと考えます。人間は私生活に制限が出れば出るほど、それがまたまた「ストレスになる」と考えますので、自分はその様に患者様にお話しさせて頂いております。

話が長くなりますので省略しますが、眼圧が高いタイプの緑内障の方の眼圧にも当然、自律神経は関与しています。今回は主に正常眼圧緑内障を中心に記載させて頂きました。

3)中心性網膜炎

働き盛りの男性の片眼に発症する網膜の中心部である黄班部に浮腫(むくみ)を起こす疾患。

原因は明確ではありませんが、「ストレス説」が最有力である疾患で、正式には中心性漿液性網膜炎と呼ばれ、「モノが歪んで見える」「中心部が何となく暗い」との訴えで受診される事が多い疾患です。中心に浮腫があるものの比較的矯正視力は保たれている事が特徴です。

一般的には自然治癒もあり予後は良いのですが、再発が多い傾向にあり、再発例では矯正視力の低下が認められる事もあります。治療はビタミン剤や浮腫の軽減の為の漢方薬の内服処方等で様子を診ますが、長引く場合はレーザー治療が必要になります。経過によっては類似した他の黄班疾患との鑑別も重要となります。また黄班変性症との関連も示唆されておりますので、良くなった様でも、その後の視力の経過・眼底変化等の定期的検査が重要となります。

4)高血圧性網膜症

ストレスにより血管が細くなると血圧も高くなりやすくなります。元々、高血圧症の方はストレスにより血圧が一過性に更に上昇する事で、網膜の血管が破けて眼底に出血したり、血管が詰まる可能性も高くなります。また循環が悪くなる事で網膜の神経が腫れ白斑等も出現します。

高血圧症だけではなく糖尿病の方も類似した病態であり、糖尿病性網膜症として発症します。

5)虚血性眼疾患(きょけつせい眼疾患):難しい名前ですが、血流障害による眼の病気の総称です。

簡単に言いますと「眼の心筋梗塞」「眼の脳梗塞」の様なものです。

最近は若い方にも急性心筋梗塞・脳梗塞等が発症する事について、テレビ報道等で皆様もご存知かと思います。これらは総称して「虚血性疾患」と呼ばれます。眼科でも若い方の眼虚血性疾患が急増しています。勿論、高脂血症、糖尿病、本態性高血圧等が原因である事が多いのは当然の事ですが、これらにストレスが加わり、自律神経のバランスが崩れた結果、血管が収縮(=細くなる事)を引き起こす事によって、これらを発症するリスクが高くなる事が考えられます。

実際の虚血性眼疾患には下記のようなものがあります

網膜静脈閉塞症 (血栓症)

網膜の静脈が血栓などで詰まってしまい、血液が眼から心臓に戻る事が出来ず、網膜血管が詰まったホースの状態になった結果、破裂し出血します。網膜の中心部である黄班部に出血が及ぶと「モノが歪んで見える」「中心付近が暗い」等の症状を引き起こします。種々の有効な治療法があります。

静脈閉塞症眼底写真

▲網膜(分枝)静脈閉塞症:静脈が詰って破裂した為、黄斑部の上方に網膜出血を認める

 

網膜動脈閉塞症(血栓症)

網膜の動脈が血栓等で詰まり、網膜に栄養がいかず、短時間で網膜は蒼白となり、「突然、真っ暗になった」と訴えて来院される方が多い疾患です。速やかな治療によっても回復が難しいのが現状であるシビアな病気です。通常は80歳以上のご高齢の方に多い疾患と言われていましたが、最近では30歳台に発症を診る事もあります。当院でも年間、数例の患者様が来られます。

動脈閉塞症眼底写真

▲網膜(分枝)動脈閉塞症:動脈が詰まり血流が途絶した領域(黄班部上部)が蒼白になっている。また一部に出血も認められる。

 

③虚血性視神経症:

視神経に栄養を与えている血管が血栓等で詰まる疾患です。

「突然、中心部が暗くなった」「突然、上半分が暗くなった」等の症状が出ます。

前部虚血性視神経症

▲前部虚血性視神経症:視神経が虚血により腫れてしまい、本来は、ほぼ球形であるはずの視神経の境界が不鮮明になっている(急性期)

 

④ 一過性虚血性眼疾患

一時的に血管が詰まり、上記の①~③の症状が出ますが数分で回復し、外来に来られた時は症状も無く、眼科的所見も有意なものも認められません。本当に詰まってしまう前兆である事も考えられ、再発に要注意です。脳神経外科的に表現しますと「一過性脳虚血発作」と呼ばれ、いわゆる脳梗塞の予備軍的疾患です。

 

またまた今回も長くなってしまいましたが、かく言う私も原稿を夜中に書いておりますと、パソコンの見過ぎの為か、眼が爛々とし、やや興奮状態になり寝つきが悪くなります。結果、睡眠不足ともなり自律神経のバランスも、やや崩れているようです(^_^;)。診療には影響の出ない様に日々の体調管理にも気を配って参りたいと思います。

ストレス社会ですが、やはり大事なのは「気合!」だと思っています。私もストレスは絶えませんが、皆様も私以上にストレスが多いかと思います。共に頑張って自分の意思ではコントロールできない自律神経をコントロールできる程の「気合」でストレス病を打破出来る様に頑張って行きましょう。

今回掲載した内容や、その他でも眼の事でご不安な事があればお気軽にお尋ねください。

学校検診も終わりました。今年は、全ての学校で生徒の皆さんに上手に検診を受けて頂き、とてもスムーズに検診を終える事が出来ました。学校関係者の方々、保護者様、そして何よりも上手に検診を受けてくれた生徒の皆さんに心より感謝いたします。

文責:藤田

 

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眼疾患と症状 第7回:視力低下「ストレス性:小児~思春期編」追加しました

第7回:視力低下「ストレス性:小児~思春期編」追加しました。

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第7回:視力低下「ストレス性:小児~思春期編」

学校検診の時期です。今回は子供(小児~思春期)のストレス性眼疾患についてお話しをします。

現代の子には親が考える以上にストレスが多い様です。外来にも「子供が見えないと言っている」「学校検診で視力低下のお知らせが来た」との事で受診される方が増えています。殆どが近視・遠視・乱視等の屈折異常で、病気ではなくメガネで視力が充分に得る事ができます。

しかし中にはレンズで遠視や近視・乱視を矯正しても見えないという「病的な視力低下」を考えなければならない場合もあります。

※矯正した視力(以下:矯正視力)が1.0以上得られなければ病的視力低下を考えます。※

 

外来では矯正視力が1.0未満の場合には眼の表面から眼底まで詳細に検査をし、病気の有無を確認します。

一例ですが、初診で矯正視力が両眼とも0.3までしか得られないケースもあります。その様な場合には当然、病気を疑います。勿論、調節麻痺剤(眼の緊張を取る目薬=瞳孔が開いて眩しくなってしまう目薬)の点眼をして頂いた上での屈折再検査(眼を安静な状態にして遠視や近視の度数に変化が無いかを診るための検査)も施行し、再度、矯正視力の確認もします。その上でも矯正視力が出ないし、散瞳下(瞳孔が開いた状態)の顕微鏡検査や眼底検査でも、どこにも病的な所見は無い!。特に検査で矯正視力が得られない以外に、目の奥の痛みもないし、視力低下を感じた時期もいつからかハッキリしない。「脳の病気?」とも考えますが頭痛や吐き気も無いし、調節麻痺剤点眼前の検査で瞳孔の異常(対光反応の異常・左右の瞳孔の大きさの違い)も無く、全身的に神経障害も無さそう・・・。その様な時は「心因性視神経症」を考えます。一見、難しそうな病名ですが「目の心の病」と思ってください。この病気は決して珍しくはないのです。当院でも年間6~7例の「心因性視神経症」の患者様が来られております。

診断はゴールドマン視野計による視野検査の結果でつく事が殆どです。最近はいろいろな眼の病気に対して「自動視野計」というコンピューター相手の視野検査機器を使用される事が多いのですが、「心因性視神経症」に関しては自動視野計では診断がつきません。視野の全体像を診る事が可能な「ゴールドマン視野検査」を受けて頂く事で、この病気に特徴的な「らせん状視野」「求心性視野狭窄」が得られる事ができます。

特に求心性視野狭窄は通常、器質的疾患である網膜色素変性症・緑内障等の末期で無い限り「あり得ない視野欠損」です!。

ゴールドマン視野計

ゴールドマン視野計

正常視野検査結果

正常視野検査結果

らせん状視野

らせん状視野

求心性視野狭窄

求心性視野狭窄

ゴールドマン視野計は視野の全体像が把握可能で、脳梗塞・脳腫瘍による視野欠損の診断、網膜色素変性症の進行期分類の決定、今回記載の心因性視神経症の診断など、数多くの眼科的疾患の診断には欠かせない大切な視野検査機器です。自動視野計に慣れた患者様がゴールドマン視野計を観ますと「旧式の機械だなぁ~」とウチの視能訓練士も患者様からお言葉を頂く様ですが、ある意味、自動視野計よりかなり「お利口さん」で「働き者」で、自動視野計より幅広い疾患の診断には欠かせない機器なのです!。当院では両方の視野計を取り入れ、疾患によって使い分けをしております(当院の設備参照)。

 

心因性視神経症の原因の多くはストレスと言われています。教科書的にもいろいろと原因が挙げられていますが、私が経験した例では新入学・転校・友人との別れ等の環境の変化、親の夫婦喧嘩・母親の妊娠・兄弟喧嘩などの家庭内での変化、その他、「実は習い事が嫌だった」等の些細な事でも原因となりえます。素直で真面目なお子様に多い傾向にあるとも言われております。

この病気を考えた場合には、ご家族にもお子様の見え方に急激な変化が無いかをご家庭でも注意をしてみて頂くというご協力を頂きながら、何度か視力検査をはじめとした眼科的検査を行うために通院して頂きます。特に就学時前のお子様には「視力検査に不慣れ」という可能性もありますので、「練習」の意味も兼ねて通院して頂きます。それでも視力低下に明らかな悪化や回善はなく、経過中に眼底疾患等は認めないものの、やはり矯正視力が出ない場合にはゴールドマン視野検査を行います。勿論、場合によっては緊急にゴールドマン視野検査が必要な場合もあります。診察によって明らかな病気を認めないにも拘わらず、視野検査の結果「求心性視野狭窄」や「らせん状視野」を認めた場合には、ほぼ確定診断となります。

 

視野検査結果でも「心因性視神経症」の典型的でない結果である場合には、脳の画像診断やVEP(視覚誘発電位検査)等の検査を受けて頂く場合もありますが、「稀」です。

 

この疾患の治療法の前に「予後」をお話しいたしますが、大抵は数か月で治癒し、矯正視力が得られるようになり、視野も正常に回善します。早期にストレスの原因を突き止め、さり気なくストレスを排除する事が出来れば、視力回復まで比較的短期間ですむ場合があります。経過が長ければ3か月以上かかる事もあります。また「心理的ストレスが重度」と考えた場合には心療内科受診をお奨めするという場合もあるようですが、幸い私の経験上では心療内科を紹介せずに治った例が殆どです。

また、この病気で失明することはありません。経過観察と供に視力低下がドンドン進行するようであれば、再度、他の眼疾患も考えなくてはなりません。

大学病院勤務時代に夜中に救急外来に「子供が突然、暗くて何も見えないと言っている」との事で7歳児が受診した事がありました。視力を測定した処、両眼とも矯正視力が「手動弁」(手を振っているのがやっと判る程度)でした!。眼科的検査でも視力低下の原因になり得るほどの病気はなさそうでした。その矯正視力でも薄暗い救急外来の廊下を一人で普通に歩いています。診察時に、何気なく小さなクリップを床に落として、「ごめんね、拾ってくれる?」とお願いすると拾ってくれます【今では考えられませんネ・・汗】。手動弁の視力ではとても無理な行動です!。その際には一度帰宅して頂き、後日、視野検査を施行した処、見事に「らせん状視野」が得られました。ご両親に子供のいない所でお話をお聞きすると「大好きだったお爺ちゃんが、つい先日亡くなられた」との事でした。余程、悲しかったのでしょう。お子様も経過観察のみで約1カ月ほどで視力は両眼とも1.5まで戻りました。子供心は本当に繊細です。

さて治療です。まずはストレスの原因追究です。脅かすように聴取するのは返って逆効果です。さり気なく、お子様をいつもより更に注意深く観察して下さい。場合によっては学校や習い事先の先生に「最近、変わった事は無いか」等も聞いて頂きたいと思います。

ストレスの原因が判れば、原因の排除で徐々に回復していく事が多いようです。経過観察中にお子様自身が見えない事に不安を持ち始めているような場合は「良く効くクスリを出すから、しっかりつけてね」とビタミン剤点眼薬を処方する事で安心感を持って早目に治ってくるケースもあります。また、視力低下の原因がストレスではなく、「メガネが欲しい」という「メガネ依存症」が原因であった心因性視神経症のお子様もおりました。裸眼視力も矯正視力も両眼共に0.4までしか得られなかったにも拘らず、そのお子様に度数の入っていない只の素通しのレンズ付きのメガネを処方した処、矯正視力は勿論、裸眼視力までも1.5まで出る様になりました。子供心って本当に難しいですね!。

最後になりますが、あくまで心因性視神経症は器質的疾患ではありません。ご家庭で「眼科に行って、視野検査結果等で心因性視神経症を確定診断しているので大丈夫」といった油断は禁物です。経過中に本物の眼疾患にかかってしまう可能性もありますので、再度、お子様に視力低下の訴えがあった場合も「え~っ?、また~?」とは思われずに信じてあげて下さい。その上で早期に眼科受診お奨めいたします。

次回は大人の「ストレス性眼疾患=ストレスが原因になり得る眼疾患」を掲載の予定です。ストレスとは自律神経のバランスを崩す事により「ドライアイ」等の疾患はもとより、他の重篤な視力低下を引き起こす様々な「虚血性眼疾患」の原因になります。今回は触れませんでしたが、お子様も小学校高学年~高校生になりますとストレスが原因でドライアイになったり、その結果、まばたきが異常に多くなったり、チック症様の症状が出てくるようになってしまいます。「ストレスの排除」と簡単に言いますが、現代社会では難しいのが現状です。

ストレス性の眼疾患は本当に沢山あります!。出来るだけくどくならない様に、短めに記載出来る様にがんばります!。次回は学校検診終了後に掲載予定ですので宜しくお願いします。

文責:藤田

 

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内装リニューアル工事完了・・・してます!

開業から13年目となり、待合室も改めて見ますと壁紙や椅子の汚れも目立ってきておりました。

この度、患者様方に少しでも気持ちよく「待ち時間」を過ごして頂けます様に待合室の壁紙の総張り替え」「待合室の全椅子の新規納入」をさせて頂きました。

実を申しますと内装工事は3月23日(土)に完了しております。毎日多くの患者様に御来院頂いておりますが、大変反響が・・・全くない様な現状です(^_^;)。

工事完了から1カ月経過しますが、「綺麗にしたんだね」とお言葉を頂戴した方は1名の方のみです。前から「使い込んでるなぁ~」と思われていた故に、あえて口にされないのではないかと心配に思う日もありました。次回御来院の際は隅々までご覧頂き、お心の中で「綺麗にしたんだ」と思って頂ければ幸いです。

 

また最近、御来院頂いた患者様にホームページに記載した内容に関して多くのご質問を頂き、大変嬉しく思っております。「本当に多くの方に観て頂いているんだ」と改めてホームページの記載内容に対する責任の重さを実感しております。今後も可能な限り患者様の目の健康の一助となる情報を提供出来ます様に鋭意更新をしていく予定でおりますので宜しくお願い申し上げます。

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